一般的に相続の手続きの準備では、お亡くなりになられた方や相続人の戸籍を収集し、相続人を調査・特定する作業を行います。この作業の結果である「誰が相続人なのか」を公的に証明する制度が「法定相続情報証明制度」となります。
このページでは、「法定相続情報証明制度の手続きを行う方」や「法定相続情報証明制度の利用を検討中の方」向けに、制度の概要や利用方法について説明いたします。
銀行や法務局で相続の手続きを行う際は、通常お亡くなりなられた方の相続関係(相続人がどなたになるのか等)を証明することが求められます。このため、被相続人や全ての相続人の戸籍を収集し、収集した戸籍の束を相続関係を証明する書類として相続の手続きを行う銀行や法務局に提出することになります。
法定相続情報証明制度を利用し「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けることで、戸籍の束の代わりとして相続の手続きで使用することができ、これには次のようなメリットがあります。
戸籍の束に含まれる戸籍謄本等の通数は、相続関係が比較的シンプルな場合は5通程度で済みますが、兄弟姉妹が相続人となる場合や代襲相続の場合などでは30通を超える場合もあります。戸籍謄本等の通数が増えると、管理の煩雑化や提出時の抜け漏れのリスクが増し、手続きの遅延ややり直しにも繋がりかねません。
法定相続情報証明制度を利用することで、大量の戸籍が必要とされるケースでも1枚の書類(法定相続情報一覧図の写し)で済みますので、戸籍の束を管理したり提出したりする場合と比べてその取扱いは格段に簡単になります。
銀行や法務局で相続の手続きを行う場合、原則として戸籍は原本を提出する必要があります(一部例外あり)。複数の手続きを同時並行で進める場合でそれぞれで戸籍の原本を提出する必要があるときは同じ組み合わせの戸籍の束を複数準備することになり、戸籍を収集する際に市役所等に支払う手数料の額も増えてしまいます。
法定相続情報証明制度を利用すると、戸籍の原本が1セットあれば法定相続情報一覧図の写しを無料で複数交付してもらうことができますので、複数の相続の手続きを同時並行で進めたい場合などでメリットがあります。
法定相続情報証明制度を利用する際は、相続人(または相続人から依頼を受けた親族または特定の資格者代理人)が戸籍謄本等の必要書類と申出書を法務局に提出することになります。手続きは、「1.必要書類の収集」「2.法定相続情報一覧図の作成」「3.申出書の記入・登記所への申出」の3つのステップで進めていきます。
手続きの詳細については法務局のウェブサイトの解説ページ(アドレスは下記に記載)で確認することができます。
まず「お亡くなりになられた方(被相続人)の出生(または生殖可能年齢)から死亡までの除籍謄本や原戸籍等」を本籍のある(あった)場所の市役所や役場で取得する必要があります。戸籍の取得は市役所や役場に出向いて窓口で請求する方法のほかに、郵送で請求する方法があります。しかし、現時点では電話やオンラインで請求することはできません。
収集した戸籍の内容を確認し、「配偶者がいるかどうか」「子供がいるかどうか」「養子縁組をしているかどうか」などを調査し相続人がどなたになるのかを特定します。特定された相続人について戸籍全部(個人)事項証明書を取得しその相続人が存命であることが確認できれば、相続人の調査は完了となります。