相続登記の義務化について

現時点(令和3年4月)では、相続登記は相続人の義務ではありませんし、登記申請の期限や申請しなかった場合の罰則もありません。しかし、現在開催されている国会(第204回国会)で、相続登記の義務化などに関する法案が審議されています*1。国会での審議の結果、この法案が成立した場合、相続登記が義務化され登記申請の期限や義務に違反した場合の罰則が新たに設けられることになります。法案成立からおおよそ3年以内*2に相続登記の義務化の制度がスタートする予定です。


相続登記の義務化とは

現在国会で審議されている法律の改正による新しい相続登記の制度では、相続によって所有権を取得した人は、期限内に相続登記を申請しなければならなくなり、相続登記の義務に違反した場合には罰則が設けられます。このような法律の改正と制度の変更によって相続登記の申請が相続人の義務となることが一般的に相続登記の義務化と呼ばれています。

相続登記の義務化された場合の具体的な手続きの方法や過料の詳細なルールは、今後決定されることなりますが、現時点で判明している内容は次のとおりです。

相続登記の義務を負う人と期限

  登記義務がある人 登記の期限
1 死亡した不動産の所有権の登記名義人の相続人(受遺者も含む) 相続が発生し自分が所有権を取得したことを知った日から3年以内
2  法定相続分で相続登記がされている不動産について遺産分割協議が行われ、法定相続分を超えて所有権を取得することになった相続人  遺産分割の日から3年以内

相続登記の義務に違反した場合の罰則

上の表の1の場合で、相続登記を申請する義務がある相続人が、正当な理由がないのに相続登記を申請しなかったときは、10万円以下の過料*3に処するという内容の義務違反に対する罰則が設定されています。

同じく2の場合も同様の罰則が設定されています。


「相続人申告登記(仮称)」の創設

相続登記の義務化と併せて、これまでの相続登記の手続きよりは簡略化された手続きとなる「相続人申告登記(仮称)」が新しく設けられる予定です。これは、相続人が自分が相続人であることを証明する書類を添えて、「相続が開始したこと」と「自分が相続人であること」の2点を法務局に申し出る手続きとなります。これまでの相続登記と比べると、「相続人申告登記」は手続きで必要となる書類がとてもシンプル(申出する人の自分自身の戸籍謄本のみとする想定)となる予定です。これにより相続登記の義務を負った相続人が比較的容易に手続きが行えるようになるものと思われます。

相続登記の義務化後は、相続人は原則として、「相続人申告登記」の申出を行うかこれまでと同じように相続登記を申請するかのどちらかの対応を行えば、相続登記の義務を果たしたことになる予定となっています。


相続登記のお悩み・ご相談は当事務所にお任せください

千葉司法書士事務所では、法律の改正や制度の変更にもしっかり対応しながら、お客様の相続登記のお悩みの解消のお役に立てればと考えております。また、ご相談は随時受付けておりますので、まずはお気軽に当事務所までご連絡いただければと思います。


参考情報

「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00049.html

(外部ウェブサイトのページが開きます)

※16ページから18ページが相続登記の義務化に関する部分となります。

議案の審議経過

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DD1FBE.htm

(外部ウェブサイトのページが開きます)

※4月1日に衆議院で全会一致で可決され、今後参議院で審議される予定です。


補足

*1:本ページに記載されている情報は、本ページ作成日(令和3年4月3日)時点で公開されている各種情報を基にしたものとなります。今後の国会での審議結果などにより、本ページ記載の情報とは異なる形で制度が運用される可能性がありますので、実際に手続きを行う際は、最新の情報の調査や行政機関や専門家への確認などを行ったうえでご対応ください。

 

*2:今回改正される法律のうち相続登記の義務化に関する部分は、公布の日から3年を超えない範囲内の日に施行され、これにより相続登記が義務化されます。なお、施行の日より以前に発生した相続についても、相続登記が義務化されることが予定されています(附則第五条第6項)。

 

*3:過料とは義務違反に対する制裁の一種で、相続登記の義務違反に対する過料は裁判所が科すことになります。